◆S46. 2.23 東京地裁 昭和36(行)85 所得税更正処分取消請求事件(5)◇
審理が行なわれるのであるから、原告主張のように差戻しを受けた裁判所が爾後の手続を進めるにあたり差戻前の裁判所のした事実認定に拘束されるがごときことは、ありえないところである。それ故、原告の提出に係る東京国税局長を名宛人とする審査請求書と題する書面が適法な再調査請求書及び審査請求書として取り扱われたかどうかの点については、当裁判所が再度の審理によつて上告裁判所の引用した前控訴審判決の認定事実と異なる事実を認定し、その結果、上告裁判所と異なる結論をとるにいたることがあるとしても、違法の措置と断じえないものというべきである。
そこで、該争点について判断するのに、被告税務署長が右書面を受理したうえで原告に対しこれを同税務署長に対する再調査請求書に訂正するよう指示したが、遂にその訂正が行なわれなかつたところから、右書面を名宛人たる東京国税局長に送付し、東京国税局長において証拠書類の補正を命じたのにそれにも応じなかつたという理由で審査請求却下の決定をしたことは、いずれも、当事者間に争いがなく、また、所得税法の規定によれば、白色申告者は、青色申告者の場合と異なり(四九条二項参照)、「税務署長において再調査の請求を審査の請求として取り扱うことを相当と認め、且つ、再調査の請求をした者がこれに同意した」場合(同条四項一号)又は再調査の請求があつた日から三か月の期間を経過してもこれに対する税務署長の決定の通知がなく、且つ、再調査の請求をした者が当該期間内に別段の申出をしなかつた場合(同項二号)―これらの場合には、当該再調査の請求が審査の請求とみなされる―のほかは、税務署長に対する再調査の請求をしないで、直接国税局長に対して審査の請求をすることはできず、また、審査の決定を経た者でなければ、更正処分取消しの訴えを提起することが許されない(五一条一項前段参照)こととなつている。
ところで、成立に争いのない甲第二、第六号証、前控訴審証人B(第一、二回)、Cの各証言、前控訴審における控訴人本人尋問(第一、二回)の結果(但し、後に記載する措信しない部分を除く。)、当審証人B(第一回)、D、Eの各証言並びに当審における原告本人尋問(第一回)の結果(但し、後に記載する措信しない部分を除く。)に