◆S46. 2.17 福岡高裁 昭和43(行コ)2 換地処分取消請求控訴事件(8)◇
屋町通りを通行し、また陸路によつて同市に出入りする者も、酒屋町通りにバスの発着所があつたため同通りを利用し、酒屋町通りが人通りも多く殷賑を極めていた。ところが、昭和一二年頃、市内大波止に浮棧橋ができ、ここで、乗、下船が行なわれるようになり、更にバス発着所が裁判所前に移転してからは、人の流れが変わり、新栄町通りから本町通りにかけての人通りが多くなつて、昭和三七年九月二六日の大火当時は、形勢逆転して酒屋町通りよりも新栄町通りが繁栄していた。従つて、酒屋町通りに面していたCの従前の土地よりも、一審原告の従前の土地の方が商業上数等優る位置にあつたのである。
一審被告は、区画整理事業の遂行を急ぐことのみに専念し、一般の売買価額等を全く考慮せずに、市の固定資産評価額のみをもつて従前の土地の評価の基準としたため、正当な評価額を得ることができなかつたのである。
仮に、一審原告並びに近隣の者の従前の土地の価値が、一審被告主張のとおりであるとしても、一審被告は、本件区画整理において、もと袋地であつたDの従前の土地に対しては寿通りに面した換地を指定し、またA及びBに対しては角地を換地に指定し、しかも右両名及びCには最も繁栄している新栄町通りに面して従前の土地の間口と同じかまたはこれよりも広い間口を与えているのに対し、Eと一審原告に対して従前の土地に比較し狭い間口を与えている。このことは、清算金をもつても償うことのできない重大な差別であり、この差別は何ら合理的な根拠のないもので、本件換地処分は違法たることを免れない。
また、従前の土地と換地との照応についての考慮は、土地区画整理事業開始時における状況を基準としてなされるべきであつて、区画整理事業においてなされた施策を勘案すべきではない。本件についてみると、昭和三八年一月三〇日、一審原告をはじめ近隣の者に対し仮換地の指定がなされ、同四一年九月一四日、その仮換地に本件換地指定処分がなされている。従つて、本件換地指定処分についての照応の考慮は、仮換地指定処分時における状況を基準としてなされるべきであり、その後における区画整理事業施行の結果による状況の変化を考慮すべきではない。
二、一審被告の右二、三の主張は争う。
第四